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第78号 情けは人のためならず

カテゴリー:法話集    更新日:2016 年 10 月 1 日

 仕事が忙しくなってくると言葉使いや態度が荒々しくなりがちなので気をつけなくてはと、自戒する今日このごろです。そんなことでは自分も相手も、イヤな気分になるばかりです。逆に、優しい言葉使いや態度に触れると幸せな気持ちに包まれます・
 余裕のないときはなかなか難しいのですが、そういう言動に、心がけています?
 昔から「情けは人のためならず」といわれます。人に情けを施せば、巡り巡って、施した人のためになる。西洋にもよく似たことわざがあります。「牛乳を飲む人より、配る人のほうが健康になれる」というそうです。(人に幸せを施せば、施した人も幸せになれる。)それは、東西を問わず、多くの人が実感してきたことなのでしょう。
自利利他  仏教では、これを「自利利他(じりりた)」といいます。反対に、施しを嫌い、自己中心的なのを「我利我利(がりがり)」といいます。「自分さえよければいい」という考えでは、誰からも愛されません。結局、孤立して、破滅の道へ向かうのです。そんな我利我利亡者(がりがりもうじゃ)の行き着く先は地獄だと仏教では説かれています。
 こんな話が伝えられています。**
 ある男が、「地獄」を見物に行きました。ちょうど地獄は、昼時で食卓には、亡者がズラリと並んでおります。「どうせ ロクナ物を食べては、おるまい」と思ってテーブルを見ると、なんと、山海の珍味の山ではありませんか!!
 ところが亡者は、皆、骨と皮ばかりにやせ衰えているのです。「はて、おかしいなァ」と、よくよく見ると、1メートル以上もある、長い箸が置かれていました。これでは、自分の口へ運ぼうとしても 入りません。結局、ひとくちも、口に できぬまま食事は終わりました。
「やっぱり地獄はひどいところだ……」と思った男は、ついでに「極楽」へも行ってみました。
 極楽は、夕食時で、テーブルには、まるまると肥えた極楽の往生人が座っています。
無論、テーブルは、山海の珍味。しかし置かれていたのは、なんと、地獄と同じ1メートルもの長い箸だったのです。「はて、地獄と極楽では どこが違うのか?」食べ始めるのを見て、そのワケが 分かりました。極楽の住人たちは、長い箸で、挟んだごちそうを、自分の口に運ぼうとはせず、向かい側の人に食べさせていたのです。こうして、お互いが、相手のために箸を使い、皆で食事を楽しんでいたのでした。
「なるほど、極楽の人は心掛けが違うわい」と、男は感心しながら帰ったそうです。**
布 施  人に施しをすることを、仏教で「布施」といいます。お釈迦さまが教えられるとおり、「布施」を実践していけば、「他を生かし、己も生きる(自利利他)」となります。「布施」は、幸せの輪が限りなく広がる尊い行いなのですね。また、仏教では、明るい挨拶や、優しい微笑みなども「布施」と教えられています。
                 おわり


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