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第81号 「5月21日は何の日ですか」

カテゴリー:法話集    更新日:2017 年 7 月 1 日

「5月21日は何の日ですか」
「降誕会」
5月21日は、親鸞聖人ご生誕の日です。
 その前後に開かれるのが、「降誕会(こうたんえ)」と呼ばれる法要です。親鸞聖人がお生まれになったことを喜び、感謝して親鸞聖人の教えを聞かせていただくご縁の法要です。なぜ、800年も前の、親鸞聖人ご生誕を、今日の、私たちが、喜ぶのでしょう?
何に、感謝するのでしょう?
 それは、私たちが、生きるのにとても、大切なことを親鸞聖人が、明らかにしてくださったからなのです。
「苦しくとも、なぜ生きる?」この答えを、「ぼんやり」とではなく、「あいまい」にでもなく、鮮明(せんめい)に!! された方が、親鸞聖人であります。
 親鸞聖人は主著『教行信証』の冒頭に、「難度海(なんどかい)に 大船あり」と宣言されています。
「難度海」とは、私たちの人生のことです。
海とは「波」の絶えぬところ、同じように、私たちの人生も、苦悩の「波」が、次々と押し寄せますから、海に例えて「難度海」と仰っているのです。
 ようやく借金返せた……とホッとしたのも束の間、今度は病気で入院、家族の介護、対人関係の悩み、交通事故に遭うなど、苦難・困難・災難の三難波が絶え間なくやってきます。
 あまりに苦しいので、近くに浮(ふ)遊(ゆう)する丸太に、すがりますが、ホッと一息つけるのは、しばらくの間で、大波が来れば、たちまち海に放り出されてしまいます。そのように私たちも、お金や財産、家族、健康、仕事、社会的地位、趣味などを心の支えとして、すがって生きていても、それらは、しばらくのご縁ですから、遅かれ早かれ、崩(くず)れる時が来る、ということです。すがっていた丸太に裏切られたらどうなるでしょう。難度海の波間から嘆きの声が 聞こえてきます。
【主人をガンで亡くしました。余命3カ月と宣告され、本当に3カ月で死んでしまいました。50年間、一緒にいたので、体中から力が抜け、もぬけの殻のようになっています。寂しくてなりません】とか、【父の介護をしています。介護されている方も、する方も、辛いです】とか、【78歳の主人が1年前から認知症になり、一生懸命看病しておりますが、先が見えなくて不安です】また【家内が5年前に亡くなりました。子供は3人いますが独立しました。とても淋しい思いがして、なんで生きるのだろうと考えます】また【夫を5年前に65歳で亡くしました。余生を楽しみにしていたのですが、くも膜下出血で突然だったので、喪失感(そうしつかん)に苛(さいな)まれています】などと、これは本当の話で、私たちの身近かな話ではないでしょうか。ご門徒の中にもおられるのではないですか
 「苦しくとも、なぜ生きる?」難度海で、もがき続ける 私たちに親鸞聖人は、「難度海を、明るく楽しく、渡る、大きな船があるぞ」と力強いメッセージを800年前から、送り続けてくださっています。親鸞聖人は、この大船を「大悲の願船(だいひ の がんせん)」とも仰っています。阿弥陀如来という仏さまの、「すべての人を幸せに救いたい」という大慈悲の願いから造られた船だからです。どんな大波が来ようとも、絶対に沈まぬ船です、この大船に乗りなさいと、しかも大船に乗ったと同時に、死後の行く先は、阿弥陀仏の極楽浄土と決定していますから無限に輝く無量光明土に向かって、この世から、大安心大満足、いま死ぬとなっても崩れぬ幸せに生かされるのです。生きている今、この大悲の願船に乗り、未来永遠の幸せに生かされるために、すべての人は生まれてきたのだよ、と親鸞聖人は答えを明らかにされているのです。
★墓所に掛けてある掛軸は、正式名称を阿弥陀浄土変相図といいます。當(たい)麻(ま)曼(まん)茶(だ)羅(ら)は阿弥陀如来の浄土を表した曼茶羅図、死後に往生する極楽の姿を説明するために工夫されたものです。「観無量壽経」に基づいて表わされ、中央には多数の菩薩に囲まれる阿弥陀三尊、下縁には阿弥陀如来が死者を極楽浄土へ迎える方法を示した「九品(きゅうひん)来迎図(らいこうず)」左右外縁には古代インドの王で、釈迦の教えを聞き、帰依(きえ)したとされる頻婆娑(ひんばさ)羅(ら)王(おう)入信の物語と阿弥陀の十六(じゅうろく)観相(かんそう)が描かれています。
                     終わり


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(2023 年 7 月 12 日)