正信偈の教え 第3回 (99号)
諸仏の浄土
【原文】
覩 見 諸 仏 浄 土 因
国 土 人 天 之 善 悪
【読み方】
諸仏の浄土の因、国土人天の善悪を覩見して、
この句には、法蔵菩薩が、諸仏の浄土の成り立ち、そして、それぞれの浄土のありさまの違い、さらに、それらの浄土に生きる人びとの善し悪しの差をはっきりと見究(みきわ)められた、ということが詠われています。
『大無量寿経』によりますと、法蔵菩薩は世自在王仏の教化(きょうけ)に出遇われて、自らも仏に成ってすべての人びとを救いたいという大きな願いを発されたのでした。もと、一人の国王であった法蔵菩薩が、かけがえのない大切な出遇いを経験されたのです。真実に出遇われたのです。真実の教えとの出遇い、真実の教えを知らせてくださる人との出遇いの大切さを私たちに教えていると思われるのです。
浄土とは、雑(まじ)りもののない清浄(しょうじょう)な国土ということで、仏によって浄められた世界です。 私たちが常にこだわっているような、自分中心という愚かで穢れた思いが一切はたらかない世界なのです。
法蔵菩薩は、世自在王仏がお示しになった多くの仏の浄土と、それらの浄土に生きる人びとのことについて、はっきりと見究められたのでした。他の仏の浄土とは違った浄土を実現したいという、この上ない、殊(こと)のほか勝(すぐ)れた
願いを発されたのです。殊のほか勝れた願いというのは、真実に無知でありながら、教えに背を向けている凡夫(ぼんぶ)、いわば、どうにもならない凡夫をこそ、迎え入れる浄土を実現したいという願いであったのです。
