通夜までの心得 Ⅱ 枕勤めについて
家族の人が亡くなった場合、まず、ご親戚に連絡するとともに、お寺の住職に亡くなったことの報告をします。そのことは、すでにお話しました。そのとき、住職には「枕勤め」(臨終勤行または枕経ともいう)のご依頼をします。今後の相談もされるとよいでしょう。今回は、その枕勤めについてお話いたします。枕勤めは、臨終にあたって、故人と共に家族が合掌礼拝してきたお内仏(仏壇)のご本尊に、家族(親戚)みんなでお参りすることをいいます。そのお勤めを住職にお願いするわけです。すでにお話しましたように、夫を亡くしたS子さん宅には、お内仏がありません。お寺への報告の際、住職に相談し、ご本尊をお迎えしましょう。浄土真宗のご本尊は、阿弥陀如来です。阿弥陀如来は、私たちに真実(まこと)に目覚めよと、常にはたらきつづけています。お内仏のご本尊は、そのはたらきを形にまで表された尊いお姿なのです。肉親の死は、つらく悲しい心を引き起こします。そればかりではなく、亡き人がどこに行ってしまったのか、今どうしているのか、という思いも起こることでしょう。そういう問いを抱きながら、亡き人が身をもって教えてくださった死の事実をとおして、逆に私たちは、生きていることの尊さを仏さまの教えに訪ねていく、その第一歩が枕勤めです。そして、これから始まる一連の儀式(通夜や葬儀など)を、仏さまの教えに出遇う大事な機縁にしていただきたいと思います。このときの服装については、急のことですにで、華美でない平服でかまいません。また、数珠(念珠)を忘れないようにします。枕勤めが終わりましたら、通夜・葬儀の詳細など、住職と相談されるとよいでしょう。葬儀社との打ち合わせも必要です。
