もったいない
ごはんをこぼすと「もったいない」。まだ使えるものを捨てるのは「もったいない」。大事なものを失くして「もったいないことをした」などと言われてきました。漢字では「勿体(もったい)ない」と書きます。本来そのものが持っている値打ちが生かされず、無駄になることが惜しいという意味です。
私たち仏教徒は、この「もったいない」心をどう受け取ればよいのでしょう。親鸞聖人の教えに尋ねてみると、次のようなご縁でいただけるのではないかと思います。その第一は、人のいのちを賜ったことです。何はさておき、三悪道(さんあくどう)地獄・餓鬼・畜生(じこく・がき・ちくしょう)をはなれて、人間に生まれてきたことは、何にもかえがたい有り難いことであります。もったいないことです。
その第二は、真宗念仏の教えに遇えたことです。
この因縁は、いくたびいのちを重ねても容易にあえるものではない、遠く前世からの宿縁(しゅくえん)を慶(よろこ)びなさい。お念仏の教えだけが、お浄土に通入(つにゅう)する道ですからと説かれています。もったいないことであります。
