真宗の常識
【問】お焼香は何回するのですか?
お焼香の際、お香は何回つまむのか。また、頭の前にお香をおしいただくのかというご質問があります。
お焼香をする作法は、各宗派によって定められていて 浄土真宗は、お西が、「一回」、お東が「二回」です。ちなみに天台宗は一回(丁寧なら三回)、真言宗は三回、曹洞宗は二回、臨済宗は一回、浄土宗・日蓮宗は、三回のようです。(『門徒ものしり帳』)
なんで?と聞きたくなりますが、いろいろな説があるようです。
例えば、三回説は、「一回目は仏さまに、二回目は先祖に、三回目は亡き人に供える」という考え方に基づいています。しかし、お焼香はもともと仏さまを尊び、うやまうという気持ちをあらわすものですから、大切なのはお焼香をする気持ちなのです。
同様に、浄土真宗ではお香をひたいにおしいただくこともしません。なぜでしょうか?上の三回説を見てもわかるように、二回目の先祖も仏さまであり、三回目の亡き人も仏さまなのです。ですから、すべて一回目の仏さまにすべておさまってしまうからです。
一回より三回したほうが丁寧な感じがするかもしれませんが、これは「多いほうが少ないよりもいい」という一般的な感覚に基づくものでしょう。逆に、多ければよいというものでもないということも言えるのです。大切なことは、仏さまにお香をお供えするという気持ちなのです。そして、お香そのものを尊ぶのではないのです。お香を額に押し頂くこともしません。
二回だけ、お香をつまみ、香炉の中に入れていただくだけで十分なのです。
【問】お線香はなぜ立てないのですか?
「もともとお香は立ててお供えしていなかったからです」というよりも「もともとは立てることが出来なかった」といったほうが正確です。
「隅々まで行き渡る清浄な香りは仏さまのお慈悲の心をあらわすもの」と言われます。仏さまをうやまう方法としてお香をお供えするようになりました。
お香が日本に伝えられたのは6世紀の中頃といわれています。現在のお香の基本は鑑真上人が日本に持ち込まれました。この頃のお香は「抹香」(まっこう)で、粉末状のものを用いていました。やがて、うずまき状の木の枠に抹香を詰めて型を取り、次に枠を外して「蚊取り線香状態(?)」にし、その抹香の端に火をつけて、長時間香りがでるようにしたのです。
その後、平安時代には「練香(抹香を蜜や梅肉で練り丸めたもの)」、室町時代には香木(香りのでる木片)」などが用いられるようになりました。
お寺でのお香の焚き方は、香炉に種火として炭を入れ、その上に抹香をくべます。最近は「香炭」というものあるのでロウソクでも簡単に火がつけられるので便利になりました。ご家庭では、種火を準備することは大変なのでお線香を種火の代わりとし、抹香を用いてもよいとされています。
お線香だけで供えるとき、お線香を立てると、迷信や祈祷などの様々な意味付けがされてしまい誤解を生みます。
お線香は立ててお供えする必要はありません。香炉の大きさにあわせて、適当な長さに折っても構いません。仏さまをうやまうという本来の意味を大切にするために、お線香は立てずに横にしてお供えしましょう。